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日本学生観光連盟(学観連)の取り組みについて

―学観連の教育効果を、顧問の立場からどうご覧になりますか。学生団体の活動で、学生が得ているものとは。

 

 主に二つあります。一つは本当の意味で学生の主体性が磨かれること。学観連の場合は、企画の立ち上げからサポーター・企業等への協力要請まで、普通の講義やゼミでは求められない幅広い役割を任されます。私たち顧問も運営のアドバイスはしますが、基本的には自己責任で動かなければなりません。やるしかない状況に追い込まれてこそ学生は成長します。

 学内にいるうちは、講義は座って聞いていればいい。(最近の学生はディスカッションをさせるような講義を嫌う、とデータに出ています。)ゼミ活動も、学生主体のように見えて、実はかなりレールがひかれていて、最後は教授が何とかしてくれる、という甘えも出る。以前ある学観連学生から、「『学観連は大したことしていない、うちのゼミのほうが企業と連携して大きいことしているよ』と言われてショックだった」と聞きましたが、その時に、「それは教授や先輩が築いた伝統に乗っかって、自分たちがさもスゴイことを成し遂げたような気になっていることが多いものだ」と話しました。一からプロジェクトを立ち上げなさいと言われたら、学生達だけでそんな簡単にどこかの企業と連携して、プロジェクトを進められるとは思えません。

 大企業と付き合う方が学生はメリットを感じるかもしれませんが、それは少し視野が狭いと思います。大企業が用意したインターンや公募プロジェクトも経験にはなりますが、それは企業体験の先取りでしかないという面もあります。規模が小さく、無名な組織であっても、一緒に頭を悩ませながら協同してくれるような団体と連携して、自分たちで枠組みから考えていくことで、本当の実力がつく気がします。相当大変ですし、目に見える成果は簡単に出ませんけれどね(笑)。そういう意味ではベンチャー精神を持った学生がもっと学観連に集まって欲しいなと思います。

 もう一つは色々な大学の学生と交流できること。今は年1、2回交流会を開いているようですが、今後は一歩進んで、それぞれが自分の大学で学んでいることを発表する場を設けても良いかもしれない。観光学といっても分野が広いから、各大学・ゼミでやっていることは本当に様々です。横浜商大でも、「ゼミ連」を作り、発表会を開きました。それによって、他のゼミがどういうことをしているのか分かる。お互いよく知らないし、ましてや学外のことは更にわからないでしょう。いろいろ刺激し合えると思います。役員の中にも色々な人間関係があるようですが、同じ大学の学生とだけと付き合うのとは違う効果があると感じています。特に、あるプロジェクトで違う大学の学生同士が取り組むと、それぞれがもつ観光の知識・考えが融和して、おもしろい結果につながるのではないでしょうか。

最後に、観光を学ぶ学生にメッセージをお願いします。

 学生はどうしても楽な道へ行こうとしがちです。まずは、もっと勉強して欲しいと思う。勉強しない観光系学生より、全然関係ない経済学部や文学部の学生でも、本気で興味を持って研究した学生の方が観光のことをよく知っていたりします。

 観光系学生には、「この先の社会、自分は観光で新しい道を切り開いていくんだ」とか、「観光の、この分野についてだけは他学部生には絶対に負けない」と自信が持てるまで、精一杯観光学と向き合って欲しい。私はよく、「観光プロパーの誇り」という言葉を使います。世の中を良くしていくため、社会のために観光を活かすという考えを常にもってほしい。就職先や経済的対価、地位は後からついてくるものです。観光系学生にはもっと頑張ってほしいし、様々な業界で卒業生が活躍してくれることを期待しています。そうしてこそ、観光系学生のプレゼンスを高めることが出来るのです。

 

―本日はありがとうございました。

取材日 2013年9月14日

聞き手 藤野、遠藤、金野、徳武

 

 

(宍戸教授からのメッセージ)

「『観光学生達が、観光教育問題を考える』という勇気と、素晴らしい問題意識に、ぜひ問題提起をして応えたいと思い、少々踏み込んだコメント、私見が含まれていることはご理解ください。この企画をもとに活発な議論が巻き起こるといいですね。」

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